お姉ちゃんが 中2の10月から摂食が困難になり 普通の生活ができなくなってから
もう1年半以上過ぎています。
今なお 苦労しています。
もしかしたら 今が一番の山場です。
中2の2月に 大学病院に緊急入院してから 一度はなんでも食べられるようになって退院。
一時期は
「今が人生で一番たくさん食べられる!」
と喜んでいたのも束の間。
その後の通院期間中に また食べると起こる腹痛によって だんだん食事が困難になってきて
脂質を拒む 極端な偏食になりました。
中3の夏の吹部のコンクールに出ることを 治療の励みとしていたため 参加させてもらいましたが やはり体力の消耗がひどく減量してしまうという結果になりました。
さらに 受験を前にして 食後に腹痛のせいで 学習に専念できないことから 食べたふりをするようになり 体重はまたどんどん減少していったのでした。
自宅での体重測定前に水をがぶ飲みすることを常習していて 乾電池を数十個衣類に貼り付けていたり 浅はかな誤魔化しでカバーしていたために 発覚した時に 正確に測った数値は 26kg台に陥っていました。
そして 2度目の緊急入院が中3の12月。
中学生活最後のクリスマス、お正月は 病棟でした。
年明けに、院内感染でコロナに罹り 個室に移動。
それを契機に 受験を最優先に感じるあまり 食べるのが大変な食事は 隠れてトイレに流すという手段を選んだようでした。
入試前ということで学習道具の持ち込みを許可されていて 大量に教科書やワークがあったため トローリーバッグごと病室に。
その中には小さな密閉容器に詰め込んだ粗塩数百gを ウチからこっそり持ち込んでいました。
食事とともに 大量の塩分を取り入れて 水太りする狙いだったよう。
病院では誤魔化せたのですが 入試のために一時退院した時に
ママが食事を共にしたことで発覚したのでした。
塩のズルがバレたことで 予定していたより早く再入院することになりました。
入院の当日、家出しました。
慌てふためくパパとママの横で お兄ちゃんがポツリと
「GPSで分かるんやないと」
そうでした。
お姉ちゃんはiPhoneを持って出ていっていたのでした。
最寄駅から早朝の電車に乗ったのでしょう。
3つ先の少し大きな街まで移動していたのでした。
パパとママは1時間ほど探して 駅ビルで身柄を確保 無理やり車に乗せて病院に連れて行きました。
すぐに主治医が面談に応じてくれ 再入院時に予定していた「点滴(特別な栄養摂取の措置)が怖くて逃げた」のだと白状しました。
なるべく 気持ちの負担を軽減するため 主治医が提案したのは
「1,800kcalを1週間食べ続けられたら そこで退院する日を決めよう」というもの。
「3キロ増えたら」
「30キロになったら」という条件より はるかに気楽に思えますが
いやいや これまで 3ヶ月入院しても 1,600が限界だったお姉ちゃんの様子からしたら
主治医は なんとうまく お姉ちゃん自ら「1800食べます」というところに誘導したのだろうと
心の中で拍手したものでした。
ところが その翌日から連日 1800をクリア。
最短の1週間で退院日を決めねばならず 主治医は きっといろんな検査などの口実を利用して
最長に伸ばして 約束をクリアした1週間後の2月21日に決定。
しかしながら それは食べたフリだということは歴然でした。
が、目標体重をクリアしたら退院という約束ではなかったから仕方ありませんでした。
「こういうことなんです。精神科と違って心療内科ですから 鍵をかけて逃げないようにもできないし
ずるして逃げようと思ったら 防ぎようがないのです」
と半ば匙を投げられたような気分で退院しました。
その後 苦しい自宅療養が続きました。
体重は 私の目を盗んで使用した 塩と水のせいで増えたように見えましたが それも頭打ちになり
ついに再々入院となったのが 4月19日。
入院5週目の木曜日 主治医から 電話が入りました。
「彼女 やっぱり 水を飲んでいたことを認めました。
それで もう 僕はあなたを信じたくても 信じられませんと伝えました。
約束していたように特別な栄養を入れることを提案しているのですけど
彼女 頑として認めないのです。
このままでは 彼女 治療が嫌で どこかに逃げて行ってしまいそうな気がするんです。
お母さん 今日 今から 来ることができますか?」
誤魔化しの予想はついていたものの、どん底の地を這うような気分で 病院へと向かいました。
どうしてこんなことになったんだろう。
なにがいけなかったんだろう。
どこで間違った方向に進み始めたのだろう。
病棟について、医師から状況説明を受け、私の考えを訊かれました。
「本人が応じないなら 麻酔を打ってでも 胃瘻でもなんでも 医学的に一番効果的な方法で 体重を増やすようにお願いします」
少し驚いたような面持ちの主治医。
あとあと分かったのですが、
「僕は胃瘻は抵抗があって・・・。いくら小さい穴とはいえ、縫合も必要だし、できるだけ避けたいのです」というのが、優しい主治医の本音だったようです。
1週間前に面会をしたばかりだったのですが、またお姉ちゃんと医師を交えての面談をしました。
流石に、駆けつけたママからは逃げられずついに、大静脈カテーテル栄養の治療を開始することとなりました。
いよいよここからが体重を増やすための治療本番です。