お姉ちゃん 摂食障害 日々の出来事 起立性調節障害 食欲不振

2度のドクターストップ

ボクのイラスト

お姉ちゃんが起立性調節障害の上に、さらに摂食障害も併発していることが判明してから1ヶ月。
1月13日(金)は、今年初めての、そして 確か7回目の大病院での受診でした。

これまでの1ヶ月・・・。

12月の間は、計3回も通院しましたが、7キロ減った体重は、31.5キロ(着衣)から一向に増えることはなく

医師:「帰省が彼女の励みになっているようなのでお姉ちゃんに 今はいいませんが、長距離の移動は無理です。帰省先で何かあったら命の危険を伴います」

と、12月1回目の受診からいわれていました。

1月25日からは、中学校の修学旅行も控えているので

ママ:「無理して帰省しても、向こうで寝てなきゃいけないし、修学旅行も行けなくなるよ」

と、諭しても

お姉ちゃん:「修学旅行よりも 東京の方が(親戚に会いに)行きたい」

といっていました。だから

ママ:「帰省したいならしっかりとご飯食べて、体重を戻そう」

と毎日いって 食べるよう促し 食べたら褒めていました。

12月3回目の27日の受診で、ついに、いよいよ医師から

医師:「現状では飛行機に乗って長距離の移動はやめておいたほうがいい。もしコロナにかかったら、間違いなく重症化するし、そうしたら命に関わるから。だけどおうちで食事を頑張っているから 年末年始は入院はせずに お家で過ごしましょう」

と告げられた時、お姉ちゃんの眼が明らかに曇りました。
あまり感情を言葉にしないお姉ちゃんでも その落胆具合は、ママにはよく分かりました。

「行きたい! 絶対行く・・・」と 家に帰ってからもいっていました。

摂食障害の専門医の受診は2月10日。

体重を維持するため 前向きな摂食の励みにできるものは なんでも利用しなければなりませんでしたから、直前での告知は致し方ありませんでした。

そして 初めて 家族5人だけで お正月を迎えました。
でも お兄ちゃんとボクという2人の弟たちのお陰で 賑やかさには事欠きませんでした。

12月27日の診療で 栄養剤「エンシュア」をこっそりキッチンに捨てていることを医師に伝えたので
これからは 食事の時に摂るようにとの指示がありました。
だけど お姉ちゃんのプライドを配慮して「捨てているのを知っている」ということは 医師も親も 今は黙っておこうということになりました。
一度に飲みにくいなら 小分けして飲むようにともいわれました。

ママ:「缶は開けたらすぐに別の容器に移したほうがいいよ。変質するから」

とありもしない理由を作って ママはストローを刺すことのできる蓋付きのマグカップを買ってきました。
わざわざ 缶から移し替えて 蓋をしてストローを刺すのだから 
その蓋を外して 排水溝に流すのは なかなか手間がかかります。
こうしたらママの目を盗んで 手っ取り早く捨てられることはなかろうと思っていました。

案の定 お姉ちゃんは、カップを用意してからは「飲むこと」を覚悟したように見えました。
缶からカップに入れ替え、前日から「匂いを軽減するため」と冷蔵庫で冷やしていました。
食事の時に飲むよう 約束させたので 逃げ場はないと思っていました。

ある日、どうしてもママは、仕事のため お姉ちゃんの薬の時間に 2日続けて 家を空けなければなりませんでした。
お姉ちゃんは 10月から訴え続けている体調不良である「腸の詰まり感」を治すため
「モビコール」という下剤を毎夕4時半から5時の間に 時間を決めて 軽食ととも(これまた不味いらしく味を消すために何かを食べなければ飲めませんでした)に飲んでいました。
もう「詰まり感」が解消され 軟便となって、ママが減らすようにいっても 

お姉ちゃん:「飲まないと、またお腹が詰まって痛くなりそうで怖い」

という理由で 飲み続けていました。

ママの外出1日目。
帰宅すると キッチンのシンクに栄養剤のカップと 使った形跡のあるストローがありました。
蓋がゆるくされたまま 中身は空っぽになっていました。

「栄養剤を飲むときは 飲みづらそうにして 1時間近くかかるのに、下剤も栄養剤も もう飲み終わってるなんて」とママは思いました。

ママ:「あれ? モビコールと一緒に もうエンシュア飲んだんだ」

お姉ちゃん:「うん」

ママの外出2日目。

帰宅すると またシンクに栄養剤の空のカップが ふんわり蓋をしたままありました。
また ママがいない間に 栄養剤を自発的に飲むなんてあり得ない。
ママは、ストローがカップに刺さってないことに気がつきました。
ゴミ箱に捨てていないか探してみました。
ストローはありません。

近頃のお姉ちゃんは ゴミ箱に捨てるということをしません。
やりっぱなし。
ママの目からは 小さい頃に戻ったような気さえします。

ママ:「あぁあ 残念。いよいよ確定してしまった・・・」

やっぱり栄養剤は 飲まないで 捨てたのです。

プライドを傷つけ落ち込ませたりしてはいけないけど・・・でももう見て見ぬ振りはできません。
「ママの目の前で飲む約束」を しないといけません。

ママ:「お姉ちゃん もうエンシュア飲んだんだ。今日ストロー 何色使った?」
※ささやかな楽しみとして 曲がるストローは3色用意しました。

お姉ちゃん:「緑」

何気ない様子で 即座に応えるお姉ちゃん。

ママ:「ストローだけ ここ(シンク)にないよ?」

お姉ちゃん:「ゴミ箱に捨てたもん」

ママ:「ゴミ箱にもないよ」

お姉ちゃん:「あるよ」

ママ:「え〜ないよ〜」

ママがゴミ箱を確認している間に、お姉ちゃんは俊敏に引き出しから新しいストローを出し
それを片手に隠し持って、洗面所に移動しようとしました。
おそらく「キッチンではなく洗面所のゴミ箱に捨てたのだという裏工作」をしようとしたのです。

ママ:「お姉ちゃん その手に持ってるのは何? 
    緑のストロー。
    今から使ったことにしようとしたんだね。
    それはやめよう。
    ママにウソつくのは やめとこう。
    どんどん自分が苦しくなるよ。
    ママには正直にいおうよ」

お姉ちゃん:「だってお腹いっぱいなんやもん。飲めん・・・」

そういって涙ぐみました。

その日は 無理に飲ませることはしませんでした。

ママは悩みました。
「エンシュア」は、お兄ちゃん曰く「クソ不味い、赤ちゃんのゲ●の味」だといっていたから、ほかで栄養を取らせるべきか・・・。
こんなに嫌がるものを 飲ませて 精神的に害はないのか。

色々考えて 食べられないのなら やっぱり飲ませるしかないので
翌日は明るく誘って ママも一緒に飲んでみることにしました。
昼過ぎまで寝ているお姉ちゃんの枕元に エンシュアを持っていきました。
コップに1本分入れたのと 別の缶1本。

ママ:「お姉ちゃん ママも今日は1食 エンシュアにするよ。そんなに不味いもの 1人で頑張ってるんだもん。飲んでみるよ。一緒に飲もう!」

やっとのことで起きたお姉ちゃん。
ニヤリと笑って 飲み始めました。
その日は、30分ほどかけて ママの目の前で完飲!

なんと ママにはちっとも不味くなく・・・同情するには至りませんでしたけど。

だけど 牛乳で煮たオートミールのような甘酒のような味がほんのりするのが嫌なのでしょう。
お兄ちゃんのいっていた「椰子の実ジュースに豆乳を混ぜた味」という表現も なかなか当たってます。

栄養剤の必要性を説いて あれ以来 目の前で飲むように約束させました。

同時に 新しい体重計を購入しました。
アプリに計測結果が自動転送される体重計で 毎日 お姉ちゃんに載ることを約束させました。

もちろん これまでも 体重の計測をするよう声掛けしていましたが 
ある時は測ったことにしたり それを疑って ママの目の前で 体重計に載るようにいうと「なんでそこまで」とぶつぶつ文句をいって嫌がっていたのでした。
まるで 体重の減少を体感していて それを隠蔽しているかのように見えました。

届いた体重計に渋々載ったお姉ちゃん。
ついに29.7と・・・。
病院で測った時のように 重いセーターやズボンやベルトをしていないとはいえ
154センチで30キロを切っていました。

そして迎えた 今年最初の「こども病院」。
ついに 修学旅行がかかった受診でした。

お姉ちゃんは 朝食は「食べられない」というものの
8時30分という早朝にも関わらず そそくさと身支度。
セーターは1枚多く 着ました。
それを指摘したら 毎回 同じだといい張りました。
そしてマイボトルにお湯を注いで 車に乗りました。
行き着くまでの1時間に まめに給水して 全て飲み干しました。

受付を済ました後 いつものように 看護師さんが血圧を測定。
お姉ちゃんの重ね着に気が付き 身長と体重測定の前に 一番上の分厚いセーターは脱ぐように優しく誘導してくれました。

体重測定後 すぐに
お姉ちゃん:「トイレ行ってくる」と。

水分補給は 体重測定のための増量だったのです。

今回の受診では、「エンシュア」を飲まずに捨てていたことなど、お姉ちゃんの前でも包み隠さず話せるようになったので 医師に全てを口頭で伝えました。

いつものように 問題点や質問をお手紙を書いて 医師に先に確認してもらおうかとも思いましたが
ボクのことに 日々手を焼かないわけもなく それにお姉ちゃんの「見張り」も加わって
今回ばかりは そんな手紙を記す暇もありませんでした。

バイタルの数値は 問題ありませんでしたが 体重は文字通り「水増し」しても やや減少傾向にありました。
結果、修学旅行で京都の街を散策するなど 到底無理だとの医師の判断で
修学旅行もキャンセルとなりました。

お姉ちゃん:「修学旅行、行きたかった・・・」

帰りの車で ポツリ。

ママ:「前はさ、修学旅行までにはうんと時間があるから その時までに治ると思ってたのにね・・・。
    思ってたより 体重を戻すのって難しいね。
    次は、春休みの東京に行けなくならないように、頑張らないとね」

体重が少しも変わらない状態で ママは もちろん 行けないのは分かっていました。
だけど お姉ちゃんは行けると思っていたのでした。

ママ:「何が食べられそう? お寿司?」

いろいろ考えてから 

お姉ちゃん:「お蕎麦は消化が良いって テレビでいってたから お蕎麦」

ちょっと遠回りして おいしいお蕎麦屋さんに行きました。
お姉ちゃんは せいろを三分の一・・・食べたでしょうか。
ゆっくり少しずつ啄むように食べて 残った分を少しに見せるためか 寄せて寄せて 小山みたいにしていました。

なんでこんなに 食べられなくなってしまったんだろう。

ママ:「もう2口。ガンバロっ。そしたらママ 残り食べちゃう」

その後 蕎麦湯を少し飲んで 店を出ました。

それから2日後の15日 日曜日。

摂取カロリーが少ないから 何か食べるように 促したことがありました。
素直に聞き入れて 「じゃぁご飯(お米)食べる」といって 即キッチンに入っていきました。

ママは、畳んだ洗濯物を こども部屋に運ぶ途中だったので、2階の吹き抜けからキッチンの様子を見ていました。

なんとお姉ちゃんは、よそったご飯を 即座に ぽこんとジャーに戻して
ご飯粒が数粒張り付いた茶碗を持って 白菜の漬物をつまみ 食べたふりをしたのです。

思わず 駆け寄って

ママ:「今 お姉ちゃん 何した? 何したか はっきり言葉にしていいなさい!」

黙って上目遣いをするお姉ちゃん。

ママ:「自分のしたこと 分かってる? もうお姉ちゃんは命が危なんよ。このまま体重が減ったら 心拍が下がるって病院行くたびにお医者さんにいわれてるでしょ!
    自分のしたこと ちゃんと言葉にして 自覚して! 分かってる???」

思わず大声で叫び立ててしまいました。

お姉ちゃん:「ご飯食べたことにしようとした・・・だってお腹いっぱいなんだもん・・・」

そしてワンワン泣き出しました。
ゴツゴツの華奢すぎる肩を抱き締めて 「つらいね。つらいんだね」といって 一緒に泣きました。
ほかにもいっぱい話をしましたが ママが何をどうやっていったか すっかり忘れてしまいました。
だけど お姉ちゃんの目から ポロポロ ポロポロ 涙が飛び出すようにこぼれ落ちたのを見て

「自分でもどうにもできない 本当の病気なんだな」

とはっきりわかりました。

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