ボクは、唐突に不機嫌になることがよくあります。
そういうとき家族全員が「原因はなんなんだ?」って顔を見合わせ、目をキョロキョロして確認しあうんだけど、まったく分からないことがしょっちゅう。昨日の朝もそうでした。
ボクがこの春、小学1年生になってから、4月も5月もほとんど遅刻ばかりでした。
歩いていったことも1度か2度しかなくて、毎日のようにママが車で送り届けていました。
6月になった最初の日。
ボクとお兄ちゃんは、パパと約束を交わしました。
「今日から1ヶ月間、ボクが学校に遅刻しないで歩いていけたら欲しいゲームを買ってあげる」と。
ボクが歩いて学校に行くには、小6のお兄ちゃんの協力が必須。
「2人がほしいスウィッチのゲームソフトが買ってもらえる」という目標ができた途端に、今までなら「ボクが遅いから、もう先に行く!」なんていっていたお兄ちゃんが、おだて上手に変身し、嘘みたいに順調に“歩き登校”がスタートしました。
だけどたった1日だけ、遅刻しそうな雨の日に、ママが車で送っていくことになってしまいました。
「振り出しに戻るのがいやだから走っていく」というお兄ちゃんの横で、やる気を喪失したボクが今にも泣き崩れそうになったその時、パパがいったのでした。
「1ヵ月、また最初からじゃなくていいよ。ゲーム買うのを1日延ばそう。7月1日までがんばって、遅刻せず行けたらね」と。
昨日は6月最後の日。
6月1日から徒歩での登校がスタートしてほぼ1ヶ月になろうという日。
まるで調子のいい朝のそのもので、寝室からリビングにやってきて、すんなり朝食の前に座ったボク。(大抵は「おんぶ列車」という名のママのおんぶでリビングに運ばれ、ソファーで2度寝するのだ!)
大好きなチョココルネを半分だけ食べたら、突如、テーブルの上に投げたした左腕に頭を乗せてうなだれてしまったのです。
え? なんで?
そういう時、まず疑われるのはお兄ちゃん。
隣の席からコソッと気に触る一言を発してたりするのだけど、今朝はそれもないらしい。
なぜなら、あと1日で、念願のゲームソフトが手に入るのだから!
例に漏れず、パパが「誰のせい?」ってボクにきいたりするんだけど、最悪のときはヒントも何もくれないので、どうしようもない。
朝のボクは腫れ物率、80%。
それに引き換え、お兄ちゃんはいつも大抵安定してて、そのマイペースたるや、揺るぎない大木のよう。
同じASDでも全然違うのです。
そのまま数十分経過。
登校の準備ができたお兄ちゃんが、見兼ねてボクにいいます。
お兄ちゃん「ボク、早くしてよね~。遅刻するよ」
ボク「あ~も~、あ~も~、チッチッチッ(最近始まった舌打ち癖)」
お兄ちゃん「どうしたん? もういくよ」
ボク「あ~も~、え~もう、もう1日待たなきゃいけない~、あ~も~いやだも~」
ママ心の声(そうか! 歩き登校が1ヶ月経ったと思ってたのに、ご褒美が1日延期になったことを急に思い出して凹んだんだ。だからって、ゴネたから1日早くご褒美が手に入るなんてダメだし・・・あぁ~、長びきそう)
ママ、心で泣く。
すでに30分うなだれて、動きそうにない。
お兄ちゃん「今すぐ学校いかないと、間に合わんよ」
ボク「え~も~え~も~」
ママ心の声(怒ってもムダ。29日間歩いて学校いけたなんて、ボクにしたらすごい進歩! ようし、ほかの小さなご褒美をあげよう!)
ママ「ボク! 今日学校帰ってきたら、『マリオグミ』(ここ半年ほどハマっている知育菓子)買っといてあげるよ~。すぐ作って食べよ~。ママも手伝うよ~(好きなくせに、ボクは不器用なため自分では作れない&失敗したくないため手伝いがいないと作らない)」
ボク「え~、どうせママわすれるやん」
ママ「忘れん、忘れん。絶対忘れん」
そして、ママが立てた小指を誰もいない玄関に突き出して、歌いました。
ママ「♪ 指きりゲンマン、嘘ついたら針千本じゃなくて、マリオグミ2個にふ~やす。ゆ~び~ ♪ あれ~誰もおらん!」
といったら、ダイニングテーブルから玄関に向かって、ニコニコで走ってきたではないか~!!
やった~! ママの勝利~!
こんな根競べのような毎日です。
・・・その翌日。
無事にスウィッチのゲームソフト「ミートピア」を買ってもらえました!